本イベントでは、ASEAN諸国と日本の協力による低炭素農業の推進、およびカーボンクレジットを活用した農業の持続可能な発展について議論が行われました。Green Carbonは17日(水)のSession 2(トランジションファイナンス)およびSession 3(アグリテック企業発表セッション)に登壇しました。本発表では、ASEAN諸国における農業分野でのカーボンクレジット創出に関する知見を共有するとともに、今後ASEAN全域での協力体制のもと取り組むべき課題について議論を深めました。
◆本イベント登壇の背景
Green Carbonは、東南アジアを中心に自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでおり、森林保全、水田、マングローブ植林、牛のゲップ削減、バイオ炭プロジェクトなど幅広く展開しています。特に、東南アジア地域では水田由来のカーボンクレジット創出プロジェクトの開発を推進するとともに、現地農家の生計向上や農業生産性の改善に取り組んでいます。また、プロジェクトの適地探索およびモニタリングにおいては、衛星データを活用しています。
ASEAN地域では、総温室効果ガス(GHG)排出量のうち約10-20%が水田からのメタンガス排出に起因しています※1。これは世界全体のGHG排出量の約1.5%が稲作由来である※2ことと比較すると、ASEAN地域における水田メタン排出の影響が特に大きいことがわかります。世界の米の主要生産地である同地域では、排出量削減に取り組むべく様々な策が取られています。各国政府や国際機関は、農業の持続可能な発展と低炭素化を促進するため、カーボンクレジットの活用に注目しています。
Green Carbonは、日本およびASEAN地域4カ国においてAWD(間断灌漑※3)を通じたカーボンクレジット創出を進めています。特に、2024年より開始したベトナムにおけるAWDプロジェクトでは、メタン排出量の削減および収量向上の成果を確認しています。これらの経験を背景として、農業の低炭素化、カーボン市場の拡大、農家への経済的インセンティブ創出について知見を共有すべく、IRRIとSEARCAより本イベントに招待されました。